◎人と自然のつながりを取り戻す

 「3・11を明治維新・敗戦に続く第3の転換期にしなければ日本という国は世界から取り残されていくだろう」
株式会社りゅういき自然エネルギー設立の呼び掛け文だ。群馬県の利根沼田地域の会社経営者4人で2011年9月に設立し、地域エネルギーを起爆剤として地方創生を目指した。14年に「群馬県みなかみ町・利根川上流部の国・民有人工林を主な供給源とした、木質バイオマスエネルギーによる自然再生と地域経済の融合」のテーマで、資源エネルギー庁の補助事業に採択された。
さらに1カ月後には「環境・生命文明社会構築に向けた利根川上下流の連携~みなかみの生活に根差した文化と地域エネルギーの融合」のテーマで、環境省の地域における草の根活動支援事業にも採択された。
翌年には同事業に連続採択、経済産業省の「省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業」にも採択された。また、りゅういき自然エネルギーが主導して立ち上げた「みなかみ地域エネルギー推進協議会」(会員約130人)に、群馬県とみなかみ町から15、16年に活動資金の補助を受けた。
みなかみ町内外において「みなかみ地域エネルギーフェスタ」などのイベント、省エネ・再エネの広報活動や、実際に山に入った間伐などのフィールドワークを何度となく行った。
その成果を根拠として16年12月、当時のみなかみ町長に「町内に存在する森林資源を、エネルギーとして利用すれば地元林業の活性化(中略)新たな産業の創出つまり地方創生の芽吹きとなります。森林資源を利活用した地方創生のため」にと、町営温泉施設「遊神館」に木質ペレット利用のガス化熱電併給装置の導入を求める要望書を提出した。17年には薪ボイラーの導入提案もした。
今年は「風と水の村」で林野庁関連の補助事業に採択されたので、里山整備とそれによってもたらされる木材のエネルギー事業化を進めている。例えば、ラフティング会社の宿泊施設に170㌔㍗の薪ボイラーを導入したので年間100立方㍍ほどの針葉樹の間伐材を燃料として供給している。さらに、ナラ材のまきのふるさと納税返礼品として採用や、インターネット上での全国販売も目前に迫っている。
 みなかみ町でもゴルフ場・スキー場・ダム開発などで「森里川海」と人のつながりが消えていき、人口減少・高齢化・財政ひっ迫などさまざまな問題を抱えている。しかし、だからこそ森里川海の価値を見直し、人と人、人と森里川海のつながりを取り戻し、地域エネルギーを活用した豊かな恵みを享受できるみなかみ町を創造しなければならない。
私たちは、50年後につながる結果を残せるだろうか。それは50年後の夢をどれだけ多くの人が共有できるかにかかっているのだろう。 
「毎日フォーラム」2018年10月号掲載

給湯もできる薪ストーブの話

新潟は鉄の加工を得意としている地域なので、優れたストーブメーカーがある。ペレットストーブのさいかい産業・ストーブのホンマ製作所は弊社の取引先だ。今日、新発田市の東新林業に薪ストーブで給湯(床暖房も)もできるストーブを見学に行ってきた。以前からナンデ無いのかと思っていた製品だ。12年前から商品化されていたとの説明だから、情報がなかっただけだ。当然のことだが商品化までには長い期間と多くの失敗があったらしい。タンクが乗っていて大きく感じるが、ガラス面が広いので炎が美しく見える。

製材の端材や大鋸屑を利用したブリケットやペレットも作っている。ペレットの製造過程は群馬県上野村、チップは岩手県紫波町で見学したので残すはブリケットのみだった。イタリア製の製造機械が2台設置されていた。工場を案内してくれた担当者は、メーカーからイタリアのピザはブリケットで焼くと説明されたけど本当かどうかわからない、と笑っていた。
給湯できるのは、オーロラアクアの商品名でコーナー設置型とスタンダードモデルの2機種。写真はモデルハウスに設置されたいるコーナー設置型だ。給湯に関しては4~5分流していても暖かいお湯が出続けていた。洗い物には40°もの高温は必要ないので、省エネ製品としても優れていると評価できる。このような製品を地域の資本が作っていることが素晴らしい。快晴の一日を往復の車中で6時間使ってしまったけど、有意義な一日だった。

みなかみ地域エネルギー推進協議会のこと

 みなかみ地域エネルギー推進協議会が、2013年9月25日設立された。町外からの出席者も含めて、60名を超える設立総会となり関心の高さ示した。会長には社会福祉協議会長を選出して、町との関係に配慮した体制になった。発電所はみなかみ町新治地区に建設を予定しているが、同地区の町議6人中4人が会員になっている。金融機関も2行、郵便局2局を含め地元全社加入してくれた。

 一人の局長の言葉がうれしい。「やろうとしていることはいいことだと思うし、河合さんは間違ったことをしないから」参加しますよ・・・。信頼イコール顔の見える関係と言うのだろう。
 環境問題や自然保護などの活動の場では、主催団体が違っていても参加者はいつも同じということが体験としてある。けれど今回は、あんな人こんな人もと意外な参加者が多数見受けられた。広がりの可能性を感じる。「反対だけじゃだめだよね、こういう風に対案を示さなければ」と言って参加した女性は、「声なき民」が声を上げ始めたと言えるのかも知れない。
 記念シンポジウムは、北海道下川町環境未来都市推進グループリーダの仲埜公平氏が「しもかわ森林バイオマス産業戦略~森林のぬくもりが未来のしごとを育む~」のテーマで講演した。参加者の熱心な質問や議論が醸し出す雰囲気は、一年半前の「エネルギーから経済を考える経会者ネットワーク会議」設立総会を思い出させた。「りゅういき」が目指す方向を示唆した運命的な人物、竹林さんと出逢った場所だ。今年1月25日に全国から140名も参加して開かれた「バイオマス発電事業化促進フォーラム」(市民キャビネット農都部会、バイオマス発電事業化促進ワーキンググループ主催)の実現にも尽力した竹林さんが示した方向は「コージェネ(電熱併給)と小さなシステム」だ。熱利用が利益の分岐点になると教えてくれたのだ。
 下川町での取り組みは木質ボイラー導入によるエネルギー転換が一つの柱で、ここでも熱が主役だ。先日NHKテレビで放映され反響を呼んだ新潟市の「さいかい産業」の取り組みは、ペレットストーブの普及が地域経済の発展に大きく貢献していることを教えてくれた。また、開発隊長の肩書の古川取締役は、一般家庭のエネルギーは熱で3分の2は賄えるので原発も不要になるのだと筆者に直接話してくれた。
今月25日~26日の日程で行われる「バイオマスツアー真庭」に参加予定だが、ペレットの製造やの農業施設でのペレットボイラー利用など、みなかみでのお手本になるような視察先が組み込まれているのでとても楽しみだ。筆者の本業は建築なので、木材のカスケード利用を実践している銘建工業や、勝山町並み保存地区もツアーに入っているのもうれしい。(20140415河合純男)「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」メルマガ2月号掲載記事
(20190411加筆)